〜あいえるって何?〜
7月中旬に大阪市内で初めて身体障害者福祉ホームが西成区に開所しました。その名は「あいえる」と言い、10名定員。三年間自立に向けたステップを踏むことができます。入居者を代表して姜博久さんに「あいえる」の趣旨についてお聞きしました。
あいえる設立の背景と経過
施設や親がかりの生活から地域で自立生活をしようとする障害者が増えにくい現状がある。介助体制や住居の確保や日中活動の確保や地域での支援がまとまった形で提供される必要がある。安心して自立生活への一歩を踏み出せるような所があれば、施設から出て、親元から離れて暮らそうとする人も増える。完全な地域生活に移る前段階として、福祉ホームを作った。
経過としては、市内に身障福祉ホームは今まで一つも無かった。制度の本来の中身で言えば、介護を保障するものでないが、あえて様々な制度を利用しながら生活する場として、福祉ホームを考えた。市から土地の提供を受け、建物は自分達で資金を集め、昨年11月に社会福祉法人を設立し、建物を作る。その間に入居者を募り、各地域の支援団体の協力を得、入居予定者へのILPや、ピアカウンセリングを提供して入居準備を進めた。
介助体制は、設立母体で深く関わったライフネットワークの介助派遣部門「ヘルプセンター・ホップ」で介助者募集した。
あいえるが活用している制度
身障福祉ホームという国の制度に基づく。これは10名の身体障害者の居住する所に対して、年間約390万円の補助金がおりる。
また、2年間限定だが国の「地域生活移行モデル事業」の補助を受けるべく行政と協議中。
入居者は、生活保護、障害基礎年金、日常生活用具(ベッド・特殊便器・その他の入浴補助具)、移動補助(トイレの手摺り等)、支援費の居宅介護等々を活用。また、メンバーは、日中活動の場として作業所(ライフネットワーク・青おに等)を利用。
職員体制・介助体制について
職員は常勤1名、あとライフネットワーク職員が3名サポート。障大連から1名が応援。
介助体制は、ホップで募集して朝夕や外出の介助のコーディネートをする。一部の入居者はホップ以外からも派遣を受けている。
共同生活の中身づくり
大きくは夕食のメニューづくり。8月になってから1週間ずつ入居者が順番にメニューを考えている(職員の協力を得ながら)。
仲間づくり
入居者会議を月1回開催して、ホームでの共同生活の懸案事項を決めている。
風呂には浴槽が二つあるが、脱衣場は一人分の広さしかない。男性入居者が多く、全員が入るまでにかなり時間がかかる問題もある。
トイレの手摺りを付けたが、使い始めて使い勝手が良くないとわかった。最初に日常生活用具の援助を使い切っているので、制度を改めて利用できない中、各自工夫してそのまま使っている。
地域との関係
1つは、あいえる総体として、西成地区の福祉関連の会議に関わるようになっている。
2つ目は入居者一人一人が、自治会に加入することが決まっている。
概ね、あいえるが在る地域との関係は、円滑に進んでいる。
課題
やっぱり3年後やねえ。各支援団体と連携し3年後の完全な地域自立への移行を進められるかどうか。
そのためには、各入居者の日常生活での課題と、色んな制度利用についての連携が各支援団体でより密接にとれるかどうか。
入居者個々の自立へ向けた想いをどう高めていけるか。
あいえる総体として補助金が運営上充分ではないので、財政確保をどうするかということが大きなテーマだ。
方向性
大阪市で初めての福祉ホームだから、あとに続く所が出て来るよう、地域移行を着実に増やしていく。
同じような福祉ホームがもっと増えていくよう行政にも働き掛け、取り組みとしても拡げていく。
福祉ホームとグループホームの違い
制度的には、福祉ホームはより個人の生活の度合いが濃い。グループホームはより共同性が高いけれども、今回のあいえるの場合は、グループホームのような共同性も加味した形で介助体制や生活作りを進めている。(ちなみに市の身障グループホーム補助金は847万円)
定員10人をどうやって満たすかは、今、男女の比率がアンバランスなので、女性を中心に募集をしている所。(申込はあいえるに連絡を!そして、CILとの共同の下で支援していく方向だそうです)
以上、姜さんから伺いました。
8月21日に、あいえるを訪れ、入居者の皆さんにインタビューしました。次号以降に掲載したいと思います。
あいえるの建物は、コンクリートが目立つしっかりした造りで、このコンクリートは当初壁の色を塗る予定がお金が無くて、結果として今流行の現代風な造りになったそうです。
緊急時の通報装置等初めて目にするものも多く、建物は堺市の福祉ホーム(しののめホーム)を参考にさせていただいたそうです。
ここから新たな障害者の在宅や施設からの自立生活が始まっていくんだなあという感慨に耽りました。