■表紙 KSKQピア大阪ニュースドリーム23号 2008年10月発行 私にとっての障害受容パート9 表紙写真 電動車いすに乗っている渕上(ふちがみ)さん 今回は、渕上さんです!! ●お知らせ● 2008年度第3回ピア大阪人権講座 「累犯する障害者を支えるには 〜司法と福祉の結びつきを〜」 日時:2008年10月25日(土)PM1:30〜4:30 場所:大阪市立早川福祉会館 4階第3会議室 内容:刑務所に服役した障害者が出所後も繰り返し犯罪を起こすケースがあります。その背景には、出所後の彼らを支える社会資源が整っていないという現状があります。 今回は、この問題について理解を深め、支援者から現状と課題について語ってもらい、将来の展望などについて参加者とともに考えます。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ★内容★ ◎連載企画「私にとっての障害受容」パート9 ◎館内禁煙のお願い ◎情報資料室コーナー ◎聴覚障害者マークの表示義務化 ◎日本放送協会(NHK)放送受信料免除基準の一部変更について ◎付録「2008年度第3回ピア大阪人権講座」チラシ ※このニュースドリーム22号では、大見出しの先頭には■、小見出しには◎を付けています。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ■連載企画!!「私にとっての障害受容」パート9 イラスト 封等と一輪の花 当事者なら障害があることで一度は悩みしんどい思いを抱えたことがある人は多いと思います。障害受容ができにくい理由は人それぞれですが、何かをきっかけにもっともっと自分を好きになって楽しい人生を送ってもらいたいという願いを込めて『ニュースドリーム』では当事者の方々の障害受容をめぐっての連載をしています。第9回目の今回は障害者自立生活センター・スクラムで活動されている渕上賢治(ふちがみ・けんじ)さんです。  ◎プロフィール 渕上 賢治 (ふちがみ・けんじ)  1985年 交通事故により頸髄損傷 1987年 2年間のリハビリ生活を終え、退院 2002年 実家で介助者を使い生活を始める 2003年 障害者自立生活センター・スクラムとかかわる 2004年 自立生活を始める タイトル:「私にとっての障害受容」  この記事を書いて ほしいと頼まれ了承したあと、自分の障害受容は「いつしたのか?」「どういう経験をして受容したのか」それとも「できたのか?」「できていないのか?」混沌とした思いを馳せながらも、自分の過去を振り返りつつ、文を書いていきたいと思っています。  プロフィールにあるように、十代のころオートバイ事故で頸椎の粉砕骨折と右前腕の粉砕骨折により、救急病院に搬送され、意識不明の状態が1週間ほど続いた。意識が戻り、状態が安定したところで、頸髄損傷患者が多く入院している枚方市の病院に転院することとなった。手術を行い、頭部に金属製のリングを4点のネジで固定され、体には樹脂で作られたベストを装着し、それらを左右2本の金属棒で連結されたまま、リハビリもできない状態で、半年間ベッド上で過ごす生活が続いた。  主治医から今後、事故の後遺症で体が動かなくなることを告げられた。受傷して間もない事や入院生活が大変で、その時は深刻に受け止めることも無く毎日が過ぎて行った。 首から下の自由が奪われ、健常者の頃のように身の回りのことが自分ひとりでは何ひとつできず、人の手を借りなければ生活できないようになった。  気管切開のため 喋ることもできず、体の自由も奪われ、付き添ってくれていた親に当たってばかりの日々を過ごしていた。  体に装着していた装具も取れ、車椅子にも座れるようになり、リハビリを受けられるようになった頃から、重度の障害を負い、体が動かなくなったことを重く受け止めるようになり、消灯時間が過ぎたあと病室の暗闇の中で独り考えるようになった。自分自身、障害を負うことで「人としての価値が無い」「人生が終わった」「なぜ、自分だけ」という気持ちが絶望的にしかとらえられず悲観的なそんな事ばかり思いながら入院生活を送っていた。 イラスト:車椅子  体が動かないことに極度のストレスを感じていたが、車椅子に乗れるようになってからは、同じ障害を持つ人たちと話すようになって「自分だけじゃない」という思いが、少しずつ心の中を占めていき「なぜ、自分だけ!!」という気持ちが徐々に薄らいでいった。二年間の入院生活は同じ障害を持つ人たち生活を共にし、障害を負った者同士、お互いのことを話すことで共感でき「障害を持つこの体でいいんだ!!」「車椅子でいいんだ!!」という気持ちになれた。  入院生活も二年が過ぎ退院の時期が迫り、病院から車椅子利用での住宅改修を勧められたが介助制度のわからない状態で、退院後の継続的な外出は考えられず、住宅改修も行わずに退院することとなった。  退院してから在宅での生活は、先行きの見えない、希望の持てない落胆した毎日で、近い将来施設に入り、そこでの生活が一生続くと想像していた。あきらめの気持ちでの日々が続き、目標もなく毎日ベッド上で何もすることができなかった。あるいは何もすることをせず、寝るだけの生活が十数年続いた。  長い在宅生活は外部との交流を遮断し、今振り返ってみると、身の回りのどうでもいいようなことに気を取られ、視野を狭いものにしていった。しかし、あることがきっかけで介助者を使うようになり、人とふれあうことによって気持ちを動かされ、それをきっかけに、堰を切ったように外出するようになった。  人ごみの中へ行っても、車椅子に乗った自分を「皆が見ているのではないか!」という思いに駆られていたが、外出を重ねていくうちに他人から見た自分は「障害者である」という周りからの眼も気にならないようになっていった。今、振り返ってみれば人と眼が合うだけで「視ている」と思い込んでいたが、実際には誰も障害者である自分の身体のことを気にしたのではなく、自分が障害者であることに負い目を感じ周囲の人の眼を気にしていただけだったと思う。  自立生活を始める数年前から、障害者自立生活センター・スクラムでかかわりを持つようになり、毎日のように電動車椅子に乗って就労するようになってからも、首から下の機能が麻痺しているために排尿、排便のコントロールができず、排尿のための留置カテーテルが詰まり、救急車で病院に搬送されることもよくあることだし、仕事中に失便をして急遽、自宅に帰ることもある。  一般的に排尿、排便のことを考えると、失便や失禁のことは誰にも知られたくない秘密な話であるが、私たち障害者の場合は健常者と同じ健康的な身体を持っているわけではなく、身体に「障害」を持っているわけで、自分の方から積極的に周りの人たちにそういう障害を理解してもらう事が大切なのではないでしょうか。  背伸びをして頑張ってもいつか限界が来る。何も健常者と同じでなければいけないということは無い。今はありのままの自分で良いと思うし、その身体とうまく付き合っていくことができる。障害者でも胸を張って前を向いて歩いていけば良い。  中途障害の人でいえば、人生の途中から障害者になるわけであり、突然障害者になった自分を受け入れろというのは難しい。だが、それを何年も何年も引きずって深刻に思い詰め、生活や行動を縛ってしまうというのは、考え方によっては、その人にとって大きな損失だと思う。  いろいろと考えることは決してマイナスではなく、人として大きく成長するために必要なことであるが、過度に考えすぎて日常生活に支障をきたしてしまうほど思い悩むより、前を向いて行動することが大切だと感じる。そうする事により新たな出来事や問題に直面し、今まで考えていた事がちっぽけでどうでも良く、気にならないようになるのかなと思う。  歳を重ねていけば、 やがて誰しもが障害者となる。ただ、僕の場合は、交通事故により障害者でない人より数十年ほど早く障害者に、あるいは車椅子常用者になったに過ぎない。そう考えれば、それはそれで受け入れられる。  介助者を使い仕事をしているが、時として壁にぶつかり「健常者であれば」「両手両足が自由に使えれば」と思うこともたびたびある。  健常者としての自分の記憶や経験、そして障害者としての自分の気持ちが頭の中で葛藤し、そうした中で今の自分がいるわけで、そんなことを考えても状況や状態が変化するわけでもないのに真剣に考えてしまう。十年後、二十年後もそんなことを考えているのかもしれない。というか、考えているだろう。  障害受容って、そもそもしなければならないものなのか!? できるものなのか…。障害を負って現在二十数年になるが、自分自身、障害受容をしているのか、いつできたのか? していないのか、自分でも模索中である。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ■館内禁煙のお願い イラスト:禁煙マーク  ピア大阪利用者の方に、10月から大阪市立早川福祉会館が館内禁煙になりますのでお知らせいたします。以下、大阪市立早川福祉会館長よりお願いがありました。ご協力よろしくお願いします。  早川福祉会館では、健康増進法により10月から館内禁煙を実施いたします。  なお、喫煙場所を1階北側出入口横に移設しますのでご協力いただきますようお願いいたします。  大阪市では、健康増進計画「すこやか大阪21」を推進し、非喫煙者がたばこによる健康被害を受けない環境を受けない環境づくりを進めています。   大阪市立早川福祉会館長 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ■情報資料室コーナー 新刊情報 『格差・貧困と生活保護 ――「最後のセーフティネット」の再生に向けて』 杉村宏(すぎむら・ひろし)編著 明石書店 2007.11 230ページ 1890円 * 解体の危機にさらされる生活保護。今こそ生存権保障の制度の再生を! 『発達障害の豊かな世界』 杉山登志郎(すぎやま・としろう)著 日本評論社 2000.4 259ページ 1995円 *発達障害にかける著者のライフワーク。一般の読者向け。 『引き出しの中ぜ〜んぶ ―― 香代子(かよこ)の車いすガッハッハッ人生』 入部香代子(いるべ・かよこ)著 障害者問題資料センターりぼん社 2007.7 158ページ 1300円 *「24時間介護が必要な全国初の車いす女性市会議員」として16年間活動してきた著者の半生記。脳性マヒの二次障害である頚椎の痛みに耐える日々。 『足文字は叫ぶ!』 新田勲(にった・いさお)著 全国公的介護保障要求者組合・自立生活情報センター発行 2008.3 434ページ 2000円 * 新田勲(にった・いさお)が足文字を書き、介護者がそれを読みとり、社会がそれを受けとめる。 全身性重度障害者の地域自立・24時間介護保障を求めて、障害者はどのように運動してきたのか。現在の福祉政策を問いなおす。 『脊髄小脳変性症Q&A 126 ―― 医療・生活・福祉…126の質問に答える』  金澤一郎(かなざわ・いちろう)監修 全国脊髄小脳変性症友の会編・発行 2001.7 231ページ 1200円 * 1996年発行の初版を改訂。運動機能の障害を徐々にきたす、脊髄小脳変性症の患者・家族の人々によるガイドブック。 『盲ろう者への通訳・介助 ――「光」と「音」を伝えるための方法と技術』  全国盲ろう者協会編著 読書工房 2008.3 187ページ 1680円  * 一人ひとり異なるニーズをもつ盲ろう者を支援するため、これまで生み出されてきた多種多様な通訳・介助などの方法と技術をわかりやすく解説する。 『「ほな、たたかいまひょか」西岡務(にしおか・つとむ)ものがたり』  「ほな、たたかいまひょか」編集委員会編 障害者問題資料センターりぼん社 2008.2 175ページ 1470円 * 06年1月、51歳の若さで永眠した西岡務(にしおか・つとむ)。障害者解放運動の活動家として、自治体で働く脳性まひ障害者として、その生き方をふりかえる。 『知っていますか? 聴覚障害者とともに 一問一答』  デフサポートおおさか編著 解放出版社  2007.12 125ページ 1260円  * 聴覚障害者をとりまく状況についての、25のQ&A。1997年に出た旧版を全面的に改訂したもの。「耳がきこえない人にとってのバリアフリーってなんですか」(問24)では、8つのバリアフリーに分けて述べられ、この本のまとめともなっている。 秋といえば、「読書の秋」。ピア大阪の情報資料室には障害者に関するさまざまな本や資料が約4200冊あります。忙しくてなかなか読書をする時間がない人も、ぜひ、この機会に本をゆっくり読んでみませんか? 貸し出しは無料です。お一人2冊まで、2週間借りることができます。 一度、気軽に情報資料室をのぞいてみてくださいねっ。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ■聴覚障害者マークの表示義務化 イラスト:車  以前、道路交通法の改正について『ニュースドリーム』でも取り上げましたが、今までは一定の聴力がないと取得できなかった運転免許。今年6月1日施行の改正道交法で、重度の聴覚障害者も運転免許が取得できることになりました。ただし、幅広のルームミラー(ワイドミラー)の装着と運転時に車の前部と後部にマークの表示を義務(*)付けられています。そのマークというのが、新しくつくられた「聴覚障害者マーク」(下図)です。  周囲のドライバーは、聴覚障害者がクラクションでは危険を認知できないことがあることを理解するとともに、必要に応じ、減速を行なったり車間距離を十分に取るなどの必要があります。  マークを付けた車に幅寄せや割り込みをすると、5万円以下の罰金が科せられます。 また、ワイドミラーの装着や表示義務に違反した場合には、2万円以下の罰金などが科されます。 *)聴覚障害者標識の表示が必要なのは、補聴器を使用せずに運転する場合である。補聴器条件の方が補聴器を使用して運転する場合に、聴覚障害者標識を表示する必要はなく、表示することは望(のぞ)ましくない。 施行前に運転免許を持っていた聴覚障害者は、マークがなくても大丈夫です。 (いくお〜る(2008年8月号) 道交法改正 聞こえなくても運転が可能に! の文章中より抜粋引用) マーク:聴覚障害者ドライバーの車に義務付けられる標識  聴覚障害者マークは直径12.2センチの円形で、白で緑取りした緑地に黄色のチョウの模様を配置。夜間でも識別しやすいよう、反射材を使っている。 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ■お知らせコーナー 日本放送協会(NHK)放送受信料 免除基準の一部変更について  障害のある方を対象としたNHK放送受信料の免除については、平成20年10月1日より、免除基準が以下のとおり一部変更されます。 なお、免除基準の一部変更に伴い、新たに免除基準に該当される方については、NHK営業センターに申請を行う必要がありますが、その申請を行う際は、各区保健福祉センターにおいて、免除基準を確認のうえ該当証明を行いますので、NHKとの放送受信契約者の印鑑と、対象となる方の障害者手帳を持って、お住まいの区の保健福祉センター地域保健福祉担当(北区、中央区、東成区にお住まいの場合は地域福祉担当)の窓口へ申し出てください。 【全額免除】 @「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」が世帯構成員であり、世帯全員が市町村民税(住民税)非課税の場合に、全額免除となります。 ※従来の「身体障害者」「重度の知的障害者」から対象を拡大します。 ※生活状態の条件を「市町村民税非課税」に統一します。 【半額免除】 @視覚・聴覚障害者が世帯主の場合に、半額免除となります。 ※視覚・聴覚障害者の免除基準の変更はありません。 A重度の障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者)が世帯主の場合に、半額免除となります。 ※従来の「重度の肢体不自由者」から対象を拡大します。 ◎【従来の免除基準と新しい免除基準】 【全額免除】障害者の方を世帯構成員に有する場合 (身体障害者) @平成20年9月30日まで、生活保護法による最低生活費の額に身体障害者特別加算額を加算した額の費用によって営まれる生活状態以下の世帯 A平成20年10月1日から、世帯構成員全員が市町村民税非課税 (知的障害者) @平成20年9月30日まで、重度の知的障害者を構成員に有する世帯で、世帯構成員全員が市町村民税非課税 A平成20年10月1日から、世帯構成員全員が市町村民税非課税(重度以外も対象) @平成20年9月30日まで、適用外 A平成20年10月1日から、世帯構成員全員が市町村民税非課税 【半額免除】障害者の方が世帯主の場合 (身体障害者) @平成20年9月30日まで、視覚・聴覚障害者、重度の肢体不自由者 A平成20年10月1日から、視覚・聴覚障害者(変更なし)、重度の身体障害者(内部機能障害等を追加) (知的障害者) @平成20年9月30日まで、適用外 A平成20年10月1日から、重度の知的障害者 (精神障害者) @平成20年9月30日まで、適用外 A平成20年10月1日から、重度の精神障害者 【お問合せ】NHK視聴者コールセンター ・ナビダイヤル 0570−077−077 受付時間:午前9時〜午後10時(土・日・祝日は午後8時まで) ・IP電話等をご利用の方で上記のナビダイヤルをご利用になれない場合 044−871−8445 または 06−6910−3315 受付時間:午前9時〜午後9時(土・日・祝日は午後8時まで) イラスト:テレビ(天気予報)を1人は車椅子の男性とうしろに男性がおり2人一緒に見ている様子 --------------------------------------------------------------------------------------------------- ■編集後記   ピア大阪ニュースドリーム23号をお届けします。ようやく秋らしい気候になってまいりました。 「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」…。読者の皆さんにとってはどんな秋ですか?    『ピア大阪ニュースドリーム』の入手を希望される方は、お気軽にピア大阪までご連絡ください。 また、点字版・テープ版・デイジー版も作成しています。ピア大阪のホームページでもご覧になれます。(Y・N)                             2008年 10月2日 --------------------------------------------------------------------------------------------------- 編集人 社会福祉法人 大阪市障害者福祉・スポーツ協会 自立生活支援センター ・ ピア大阪 〒546−0033 大阪市東住吉区南田辺1−9−28 大阪市立早川福祉会館内  電話 06−6622−1180 Fax06−6622−0423 ホームページhttp://www5.Ocn.ne.jp/~peerosk/ 頒価200円 ---------------------------------------------------------------------------------------------------