〜現状と課題〜
私も困りました!坂口 登さんの場合
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| 10月より大阪市で「大阪市重度障害者等入院時コミュニケーションサポート事業」が始まりました。 これまで、重度の障害者にとって大きな課題であった入院時のサポートができる福祉制度です。医療と福祉の垣根を越えるとても大きな一歩と言える制度です。 しかし、今回の大阪市の制度では、サービス利用対象者がとても厳しく限定されており、まだまだ利用できずに困っている障害者がいる現状には変わりありません。 そこで今回、実際に入院し困った経験がある坂口 登(さかぐち・のぼる)さんにインタビューし、当事者の声としてお届けできたらと思います。 (杉井:すぎい) |
入院生活Q&A 坂口 登(さかぐち・のぼる)さんに聞いてみました
1、おととし、入院されたとお聞きしましたが、どのような理由で入院されたのですか?坂口(さかぐち):首の神経が通るところがだんだん細くなってきて、その圧迫で今まで動いていた手や足がちょっとずつ動かなくなってきて、少ししびれもあった。それでA病院でレントゲンを撮って首の骨がちょっとおかしいから紹介状を書いてもらい、B病院に行って、いろんな検査をやったところ、「頚椎の第3番から第4番が圧迫されていて、神経も通りにくくなっているから運動機能が低下してきています」と言われた。そして、治療のひとつとして手術を勧められた。
おととしの2月16日にB病院に入院。1週間位で手術をした。4月の初旬ぐらいにリハビリのためC病院に転院した。その後、3ヶ月位C病院で入院した。 2、入院時の身の回り介助等はどうされていたのですか?
坂口(さかぐち):最初のB病院は、1週間の半分は、入院前から利用していた自立生活夢宙(じりつせいかつむちゅう)センターの介護派遣部門であるぴっとin(イン)のヘルパーが昼ごはんの時間帯に3時間位ボランティアで入ってくれたので助かった。それと入院した時に、食事などの介助をどうするかを看護師さんと話し合いをし交渉をしていたので看護師がまあまあ食事介助とかもやってくれていた。残りの半分は家族が。僕には65歳のお母さんと、6人の兄弟がいる。その中の姉と二番目の妹が主に身の回りのことをしてくれた。C病院に変わって、僕はちょっとむかついた。僕はハローベストを付けていて、術後の痛みなどで交渉ができない状態だったので、ぴっとin(イン)のコーディネーターが代わりに話をしてくれた。話し合いの結果、「できればご家族の方に身の回りの世話をしてもらいたい」と言われた。結局、家族が主となり、あと、友人達が見舞いを兼ねて介助してくれた。 3、医療では「完全看護」とよく言われていますが、ほぼ常時介助を使い地域で生活されている坂口(さかぐち)さんにとって「完全看護」は充分な介助体制でしたか?坂口(さかぐち):全然充分じゃなかったですよ。入院というのはやはり、どこか悪くなって入院するんでしょ。精神的にも不安定になるやろし・・・。病院が24時間看護ということをうたっているなら、それなりのきめこまかい看護をやってほしかったと思う。人権という意味でも僕は入院当時は人権が侵害されていたと思う。ナースコールのボタンを押して呼んでも、すぐには来てくれなかったし、普段は使用していなかったおむつにされたりした。実際、家に帰った時には、僕は2ヶ月位、おしっこの感覚も便の感覚も鈍っていた。病院は退院後のことを本当に考えてくれていたのか? 管を入れられたりすると、やっぱり尿の感覚というのは鈍る。寝ながら、うんこなんかできるか? 本当にC病院は重度障害者にとってのコミュニケーションも保障してくれなかった。だから病院というのは、僕は、治って出て行く時にできるだけスムーズに元の生活ができるようにというのを望むなぁ。食事も完全看護と言いつつ現実には食事介助をしてもらえなかったから・・・。僕のように家族の支えがあったから良かったが、ほんまの一人やったらどうすんねんと思う。患者によっては、家族の付き添いによって働き手の収入を失う人もいるだろう。
病院に聞きたいねんけど、どの基準で完全看護と言うのか、基準が僕にはわからない。僕かって、母や姉や妹に迷惑をかけた。食事やトイレなど最低限の看護というのを病院に求めたい。
4、今回、入院されて一番大変だったことはなんですか?坂口(さかぐち):付き添いのことやね。コミュニケーションもそうだし。言語障害が通じなかった。看護師さんにもいろんな人がおるけど、言葉が通じない人には話しかけても無駄だから、聞き取れない人には話しかけなかった。あとは、付き添いの大変さやね。65歳を過ぎた母親に介護されるのはどうなんかなぁ? 自分自身も母親相手で頼みやすく楽な部分もあるが、母の体のこともあるし、しんどい部分もあった。5、大変だったとき、どのようなサポートや制度があればいいなぁと感じましたか?坂口(さかぐち):時間は別に短くても良いねんけど、ヘルパー制度が使えるようになってほしい。入院しても使えるヘルパー制度であってほしかった。6、今回の新しい制度「大阪市重度障害者等入院時コミュニケーションサポート事業」を坂口(さかぐち)さんはご存じでしたか? また、坂口(さかぐち)さんご自身は、今回の制度の対象とならないことをご存じでしたか?坂口(さかぐち):知っていた。区分6で、自分は言語障害があるが「意思の伝達」「指示への反応」など障害程度認定調査項目が「できる」以外と認定されている者と書いてあったから、僕は該当していないというのはわかったけど、この制度はないよりあった方が良いと思った。この取材を通じてこの制)をもっとたくさんの人に知っていってもらって、やはり、この制度(自体は良い制度だから、もうちょっとみんなが利用できるような改善をしてくれたらと思う。7、入院経験のある坂口(さかぐち)さんにとって今回の制度をどう感じていますか? また今後どう変わってほしいと思いますか?坂口(さかぐち):僕はある部分恵まれた環境にあったと思う。相談できる自立生活夢宙(じりつせいかつむちゅう)センターやぴっとin(イン)という介護派遣の事業所があって、仲間がいて、家族も協力的だった。僕以外の人達なら絶対、家族が毎日来ることは負担が大きい。あと、この制度の支給期間が2週間というのは、何が基準なんだろうか? 大きな病気はできないということなのか? 風邪とか麻疹とか盲腸なら2週間でいけるかも知れないが疑問を感じる。 僕はたまたま兄弟が多くて兄弟に助けてもらったけど、そういう人ばかりじゃない。身内がいなかったり、いても遠方にいたりなど支援してもらえない人もいる。経済的なことも関わってくる。 この制度ができたことは本当に良かった。だけど、制限が厳しい。最後に、僕が言いたいのは、誰もが医療にはかかるものだと思うから、やっぱり、障害があってもなくても充実した医療を受けたいなぁという願いがありますね。 手術をした後は特に痛みもきつく言葉が出にくい。そんな時に聞き取ってもらえないと本当に辛い。だからこそ、慣れているヘルパーが横にいてくれたらすごい心身ともに楽になると思う。
まだまだこのような制度があるということ自体を知らない人の方が多いと思われる。CIL(シーアイエル)自立生活センターに関わっていない人なんか絶対に知らないのではないかと思う。今後は、私たち当事者がもっと制度を広めていければ、変わってくるし、声をあげていくことと、改善を求めていくことが課題であり大事。区分6だけでなく、手帳を持っている障害者なら誰でも使えるようになったら良い。また、大阪市以外でもこのような制度ができたら良い。この制度は一歩前進したと思うが、まだまだ課題は多い。障害者が安心して入院できることを願うばかりである。 (2008年10月23日取材:杉井・野谷) |