西村幸一の「巨木を追う」― 第12弾
延命寺の夕照モミジ
巨木探偵社 西村 幸一(ピアスクール2期生)
西村幸一さん 1999年の「巨木探偵社」誕生以来、巨木を求めて早や6年。多くのファンをもつ「巨木を追う」も、今回で12回目となりました。大好評の「巨木を追う」シリーズ、どうぞ今回もお楽しみください。
「巨木探偵社」ファンの皆様、ご無沙汰しておりました。この度もまた、どうぞよろしくお付き合いください。
さて、今回ご紹介致します巨木は、大阪府河内長野市にある延命寺の「夕照モミジ」です。延命寺は、かの弘法大師が開いた古刹で、今回のイロハカエデも弘法大師の手植えによるものと伝えられています。
延命寺への最寄駅は、南海高野線美加の台駅。エレベーターもエスカレーターもない階段駅です。「さて、どうやって駅構外に出ようか」と思案していると、なんと階段の側壁にスペシャルな昇降機が設置されていたんですね。ビックリ反射の残る僕としてはちょっとコワイし、なんかカッコ悪いしで、あまり気乗りはしませんでしたが、駅には僕と濱村さんと駅員さん1名しか人がいなく、カッコ悪いもなにもなく、おそるおそる利用させていただくことにしました。発進時の「ドスン」という衝撃にはビックリさせられましたが、あとはスムーズに階段を昇ってくれました。
僕らが「夕照モミジ」の調査に向かったのは12月の曇りの日。とにかく寒く、風も強い一日でした。持参したコンビニおむすび弁当を駅前のバス停のベンチで食し、徒歩で延命寺を目指しました。美加の台駅で手に入れたイラスト地図を見るかぎり、駅からそう遠くはないように思えたのですが、40分は歩くことになりました。寒いわ、なんか寂しいわ、行けども行けどもそれらしき場所が見えてこなかった道中では、思わずくじけそうになってしまいましたが、「負けてなるものか」と、やっとの思いで延命寺にたどり着くことができました。
しかし胸をなでおろしたのも束の間、なんと「夕照モミジ」のある場所は延命寺内の小高い崖の上にあったのでした。眼前には20段の石段・・・しばし僕らは見つめ合ってしまいました。濱村さんはバリアなきルートを一生懸命探していましたが、見つかりませんでした。しかしここまで来て引き返すことなどできません。傍らの濱村さんも決心していたようでした。電動車椅子と僕を分離し、濱村さんは僕を抱え、一歩一歩石段を上っていきました。お疲れ様でした。そんなこんなで、ようやく僕らは「夕照モミジ」と出会うことができたのです。
「夕照モミジ」とは、夕日に映えるその美しさをたたえた呼称でありますが、その日の空はどんよりとした鉛色。迫力ある巨木というよりは、枯淡な味わいのある古木で、紅葉も見られませんでした。そりゃそうですよね、なぜなら秋ではなく冬だったのですから・・・。残念。
今回の取材は心理的にも物理的にも過酷なものでありましたが、立ちはだかって来るあらゆる障壁を乗り越えて目的を達成できた事実はとても大きな体験となりました。ありがとうございました。今度は秋の延命寺を再訪してみようかな。ね、濱村さん。ちなみに幹周りは5.0m、樹齢は800〜1000年と記されていました。おしまい。