2005年度第1回ピア大阪人権講座
発達障害について知ろう!
〜発達障害者支援の現状と今後の展望〜
講師:ひたっちくん(発達障害当事者)
堀 正嗣さん(熊本学園大学社会福祉学部教授)
第1回ピア大阪人権講座が3月4日の土曜日に開催されました。今年は3月に入っても寒い日が続いていますが、この日は比較的穏やかな晴れの天気で、これからだんだん暖かさも増してくる予感がするような気候でした。そんな中でこの講座に44名(うち介助者6名)が参加されました。
発達障害には、自閉症・アスペルガー症候群・学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)などがあると言われています。しかし、発達といっても状態像は多様で、ひとくくりにはできません。
今回の人権講座では、発達障害児・者への理解を深めるために、当事者と研究者を招き、当事者の家族関係や友達関係、普段の日常生活などや、2004年12月3日に成立した「発達障害者支援法」について、「特別支援教育」と合わせ、発達障害者支援の課題や今後の展望などのお話を伺い、また、参加者からの質疑応答も含めて進められました。
最初の講演として、発達障害当事者のひたっちくん(大学院生)よりお話がありました。
自己紹介でひたっちくんは、保育士資格や幼稚園教諭2種その他いろいろな免許資格をもっており、好きなことや特技もパソコン・鉄道旅行・音楽など様々なことに興味関心を持っているが、一番関心があるのは、子どものことだということです。そして、ADHDの概要と社会的認知についてお話を伺った後、生まれてから自分のこれまでに経験したADHDの症状をエピソードなどもまじえて説明しながら具体的に話されました。
また、自分のしゃべり方がだんだん早口になってきていることについて、「手話通訳の方ごめんなさい、これも障害ですね」(笑)と言っておられました。
続いて、熊本学園大学社会福祉学部教授の堀 正嗣さんより発達障害をめぐる問題をどう考えるかについてお話をいただきました。
まず、堀さんは共に生きるという共生の教育についてお話をされました。特別支援教育は一人ひとりの教育ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものということだが、原則分離の制度をそのままにしており、新たな障害児づくり、分離につながっているという問題点があると堀さんはおっしゃいます。
発達障害者支援法については、「早期発見・早期支援、適切な教育的支援、就労支援、家族・地域支援などの支援を行うという内容だが、当事者の参加がないままの法案成立、教師から見て問題のある児童・生徒がすべて発達障害とされてしまう危険、支援のための人員や予算措置などについて問題点がある」と指摘されていました。
講演の後、会場の参加者の質問を受けました。ひたっちくんへの質問として発達障害の息子さんを持つお母さんから、「親が一番してやらねばならないこと、または、してはいけないことについてアドバイスをください」。また「彼女はいますか? 将来パートナーをみつけて生活することの不安はありますか?」などがあり、堀さんへの質問としては「教員の方から現場で発達障害だといってクラスから締め出そうとする教員がいる。そうした事態にどうしたら警鐘をならせるか?」。また「支援について家族の抱える悩みはどこへいったら聞いてもらえるか?」など他にも多くの質問があり、若干、講座の時間がオーバーになる程でした。
今回の講座の参加者には家族に発達障害者がおられる方もあり、講座終了後も講師の方に個々お話をされるなど、熱心に話を聴かれていました。